トンネルのお話 その7 掘った土は

tunnel_8トンネル工事は掘るだけではありません。掘った土(ズリ)をマメに運び出す必要があります。モグラも同じことをやっています。その痕跡がモグラ塚であることはご存知の通りです。

発破を使う現場では一度に大量のズリが坑内を埋め尽くします。このズリをパワ-ショベルやダンプトラックを使って何回にも分けて運び出すわけです。掘るのは一瞬ですが、運び出すのは大変です。狭い坑内ではダンプがUターンするのも難儀です。そこで運転席が回転して出口の方を向き、方向転換しないでそのままトンネルの外に出て行けるアイデア商品のトラックもあります。

ところでこのズリ搬出の撮影は大変危険です。トンネルの路面は舗装してありませんからトラックが走ると車体が揺れます。揺れると土砂がこぼれます。土砂ならまだしも岩石だと困ります。当たれば怪我をします。大体そんなところで撮影している人間が悪いといえばわるいのです。ですから坑内の作業者は撮影班が大嫌いです。よけいな神経を使わねばならないから大いに不機嫌です。この不機嫌な皆さんといかに仲良くなるかがトンネル撮影の成否を左右しているとも言えます。

さて小中口径のトンネルは発破ではなく機械で掘り進むことが大半です。狭い坑内で重機(パワ-ショベルやダンプ)が身動き出来ないこともありますが、小さなトンネルは例えば下水道など町中の工事ですから発破を使えないわけです。機械で掘ると発破のように一度に大量には掘り進めません。その代わり常に小刻みに静かに掘り続けることが出来ます。この場合、ズリの搬出方法はおおまかに分けると流体輸送とズリトロ搬出の2通りがあります。流体輸送とはトンネルの入り口からパイプで泥水を先端に送り、掘ったズリと混合させて別なパイプで搬出する方法です。ズリトロ搬出とは線路を引いてズリをトロッコで搬出する方法です。このズリトロですが撮影に大変便利な一方で誠に危険な代物でもあります。まず便利な方ですがトンネルの入り口から撮影機材を乗せ、楽をしてトンネルの先端まで行くことが出来ます。途中で坑内の移動ショットなどもカッコ良く撮ることが出来ます。危険なのはトンネルの途中で撮影中にトロッコにでくわすことです。狭い坑内で電車とすれ違うようなものですから誠に危険です。しかし不思議とこのような危険な状況では注意しているせいかケガや事故は起きないものです。

※現在では現場の安全管理が徹底しているので上記のような各種危険撮影は禁止されています。

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