トンネルのお話 その3 シールド工法

初めてトンネル工事の撮影をしたのは昭和58年頃です。

20mほどの深さの立坑の螺旋階段を重いカメラ機材を持ちトンネルの入口(抗口)まで降りました。トロッコにカメラマンと2名で乗り込み、ププ-という発車音と共に坑内にガタンゴトンと入っていきます。トンネルといっても直径1.8m程の下水道本管で首をすくめていないと天井にぶつかりそうです。進む坑内はボルト締めされた鉄の輪が1mほどの間隔で連続して繋がっていました。

天井から時おりポタンポタンと水滴が垂れてきます。ワクワクする気持ちととんでもない所に来てしまったなあ—という気持ちが入り混じりました。10分程トロッコにゆられてトンネルの先端に到着。いざカメラを準備すると撮影機材の赤いランプが点滅しています。機材が結露して使えなくなってしまったのでした。この鉄の輪が1mほどの間隔で連続して繋がっているトンネルがシ-ルド工法の現場でした。

tunnel_4シールド工法は18世紀に英国のブルネルという人が開発し、最初にテムズ川の下に地下鉄トンネルを掘るために使用されたそうです。シ-ルドの語意は(保護する)という意味で、簡単に言うと茶筒のような鉄の輪の中で安全に工事が出来るトンネル掘削の方法です。最初は茶筒の内側から人力で掘っていましたがやがて機械化されました。

シールド機械の先端は回転するカッタ-で出来ています。このカッタ-で地山(じやま)を掘り進みます。1mほど掘り進むと茶筒の中で鋼鉄製やコンクリ-ト製のわっか(セグメント)を組上げます。このセグメントが連続して繋がることでトンネルが出来上がるわけです。シールドはこの組上げたセグメントを支えにしてジャッキで前進します。

シールド工事で大切な注意点があります。それは掘り進んだ土砂(ズリ)の量だけ前進するということです。当たり前のようですが、このバランスが崩れると大変なのです。例えば10掘って8しか前進しなければ地山とカッタ-の間に隙間が出来てしまい(地盤沈下)等という大変な事態を招いてしまいます。人に例えれば食べた分だけ歩いて運動しましょうと言うことでしょうか?

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